謝れない日本人

最近、とみに思うのだが、良い大人が、それも幼い頃は今よりず〜っと礼儀を重んじる時代を過ごしたであろう50代以上が、謝るという事が出来ない。

たとえば...

昨日のカナダからの飛行機内、あと1時間で到着であろうかという頃、通路側の席に座っていた、多分50代位の身だしなみのしっかりした男性が立ち上がり、窓側の席の上の荷物入れにしまった荷物をゴソゴソし始めた(A340ビジネスクラスは通路側席上に荷物入れが無い)。で、それをしまおうとした時に、何かが外側のポケットから転がり落ち、真下に座っている人の上で跳ねて通路に落ちた。ところがだ、その人は何も言わずにゴソゴソと続きを始めた。で、ひたすらしまおうとしたが、うまく入らない。で、グイグイ押してる所で、またもや何かが落ちて、またもや真下の人にあたって落ちた。で、驚いた事に、この見かけ"だけ"はしっかりした男性は何も言わずじまい。で、下に落ちた荷物を拾うのと同時位に、座っている人が文句を言ったようで、そこで初めて「すいません」と謝っていた。
私自身の感覚から言えば、最初に荷物を落とした時点で謝る。かつ、2回目は最大限慎重になる。

身近な所では電車の中での行動でわかる。
ちょっと混んでる電車で人の足を踏むのは悪くないと思っている輩がどうやら多いらしい。確かに、急激な横揺れやブレーキでバランスを崩してしまうのは自分ではどうしようも出来ない事かもしれない。とは言え、それで人の足を踏んだら、普通は謝ると思うのだが謝らないのが多い。
もし、自分が自転車や自動車運転している最中、ちょっとギャップにハンドルを取られて人に当たっても知らん顔? それとも「悪いのはギャップ」と言う? 「足を踏んだくらいじゃ死なない」とか思ってる? だとしたら、人間辞めた方が良い。

ちょっと前に、インターネット上のどこかのコラムで、江戸の小粋な心遣いが無くなっている事を嘆いていた。内容としては、昔の狭い江戸の街を人が行き違う際、そのままでは肩がぶつかりそうな時に、何も言わずにお互いに軽く肩を避けるのが小粋であり、心遣いだった。今は横に広がるわ、避けないわ、文句言うわ、その部分が完全に失われていると言う物だった。

大人vs子供の象徴的な言葉に「最近の若い者は...」というのがあるが、実は「最近の年寄りは...」の間違いではないかと思っている。
子供は大人の行動をよく見ているのだ。大人が出来なければ子供に出来る筈が無い。
既に、寿命の半分を経過したであろう自分がどちらに所属するかはわからないが、若い者が出来なかったら、それは大人が出来ていない事の鏡であると理解するようになった。

まぁ、他人がどうあろうと、自分では謝れる人間でありたいと思う。